第二次大戦時の海軍戦闘機で思い浮かべる機体は一体何でしょうか?
三菱・零式艦上戦闘機(通称・ゼロ戦)はミリタリーマニアじゃなくても聞いたことがあろうかと思います。
このゼロ戦は日本人の貧乏精神が生み出した機体と言っていいでしょう。
航空機は用途によって様々な仕様があります。
戦闘機は
①速度性能(早いほうがよい)
②運動性(空戦で有利にたてる)
③航続距離(行動半径が長いほうがよい)
④武装(強力なほうが有利)
⑤防弾装備(撃墜されにくいほうがよい)
の5点が主に求められます。
①の速度性能は強力な馬力のエンジンを搭載すれば達成できる。
②運動性は翼面荷重が低く、機体が軽いほうがよい。
③燃費のよいエンジンで燃料を多く搭載出来ればよい。
④強力な武装を搭載すればよい。
⑤燃料タンク、機体に防弾装備を付ければよい。
ではゼロ戦は①~⑤までどのようになったのでしょうか?
①速度性能:530km/hほどで当時は結構高速。
②運動性:期待が軽く、翼面荷重が低いので運動性は高い。
③航続距離:増槽、燃費の良いエンジン、搭載燃料が多いので非常に長い。
④武装:20ミリ機銃搭載で強力。
⑤防弾装備:①~④を満たすために皆無。
実は速度性能、運動性、航続距離は相互に相反するため3つ全部達成は出来ないのは
常識なのです。しかし、海軍は3つ達成せよ!と無理難題を吹っ掛けて設計陣は
止むなく防弾装備を皆無にして設計しました。
結果、被弾すれば容易に炎上・墜落する機体になり被弾=墜落する機体が多数出て、
搭乗員も消耗しました。また20ミリ機銃搭載で強力ですが初期型は携帯弾数が60発と
すぐに弾切れになり、7.7ミリ機銃頼みになる場合も。
また、航続距離が長いので長距離攻撃につく場合も多く往復6時間も1人で飛行して空戦も
行うなど疲労も貯まる飛行機でした(トイレは当然垂れ流し)。
ゼロ戦は海軍の無計画によって生み出され搭乗員を苦しめた航空機として
反省すべき機体です。